工事現場では、組んだ足場を防音シートで覆っている光景は良く見られます!
利用されるシートには色々なタイプがあり、用途に応じた使い分けが大切。
特に、使い方や選ぶ上での注意点は、事故を防ぐためにも押さえておきましょう。
この記事では、足場に使う防音シートに関連する、知っておきたい基礎知識を紹介していきます。
工事現場で防音シートを用いる理由とは?普通のメッシュと何が違うのか
防音シートは、足場で使われる養生シートの一種です。
見た目はグレーか銀色が多く、「防音」と大きめの表記があるため、一目でわかります。
遮音性能が高く、大きな作業音が生じる現場では欠かせません。
メッシュのシートと違って、生地の繊維を密に編み込んでおり、光や風を通しにくいのが特徴です。
風を通さないため、音漏れも軽減されます。
基本的には、ポリエステルの生地に樹脂製のフィルムを貼って作られます。
材質の違いによって、耐候性や防汚性能も変わってくるので、購入の際にはチェックしましょう。
厚さは一般的に、0.5mmから1.0mmほど。
そんなに分厚くはないものの、これで工事現場を覆うと、騒音をかなり軽減できます。
品質や利用環境にもよりますが、10から20デシベル位は作業音を減衰できるでしょう。
なお、防炎シートも同じように風や光を通しにくいのですが、防音シートのかわりにはなりません。
防炎タイプは、シート同士のつなぎ目に隙間ができます。
対して防音シートは、オーバーラップと呼ばれる重なり部分を設けており、隙間ができません。
徹底して風を通さない仕組みにしないと、充分な防音効果は見込めないのです。
使い方は、普通の養生シートとは少し違う部分もあります。
オーバーラップの部分はしっかりと重ねて、紐で結束していくのが基本。
重量があるので、特に高所作業では細心の注意が必要です。
設置後も風の影響を受けやすいので、異常がないかなど、確認作業が欠かせません。
音漏れを防ごう!防音シートを用いたい作業とは
まず、解体工事では必要性が高いでしょう。重機の作動音もそうですが、
木や石が破断する時の騒音は耳障りで、想像以上に遠くまで届きます。
防音シートを使えば、騒音を抑制できる上、メッシュタイプに比べて小さな埃まで防げるのも特長です。
他には、基礎工事や鉄骨・鉄筋、コンクリート関係の作業も防音シートを検討しましょう。
特にダンプなどの大型車両やディーゼルハンマーは作動音が大きめで、近隣住民に配慮したいものです。
鉄筋工事ではリベットガンが、比較的大きな音の発生源になります。
後は、発動機やエアーコンプレッサーを用いる作業も、状況によっては対策が必要になるでしょう。
防音シートは選び方が大切!最悪の結果を避けるための注意点
ネット通販などで防音シートを検索してみると、色々な商品が見当たります。
厚さやサイズも違いますし、材質も様々。選択肢が豊富で悩みますが、大切なのは適切な品を、適切な場面で使うことです。
工事で使う足場はあくまでも仮設ですから、防音シートの使い方を間違えると、最悪の結果になりかねません。
まず、気を付けたいのは厚みと重量です。防音シートは原則、厚くて重いほど遮音性が高まります。
しかし、建物すべてを分厚いタイプで覆ってしまうと、危険な場合があるのです。
高い場所では風の影響を受けやすいため、敢えて薄め・軽量タイプを選ぶ方法もあります。
強風の予報があると、慎重な判断が大切。
足場が風にあおられると、上段は大きく揺れることが多いので、安全を重視したいものです。
次に遮光性の問題があります。防音シートは光を通しにくい性質があるため、これで覆ったスペースは薄暗くなりがちです。
特に塗装作業には、最適な環境とは言えません。
薄暗いと支障がある作業の場合はメッシュシートに切り替えるか、採光性能の高い防音シートを検討してみましょう。
後は細かい点ですが、安全な作業のために、ハトメも軽視できません。
ハトメの材質によっては腐食に弱く、破損に繋がる可能性が高いのです。
強風時にハトメが破損してシートが剥がれると、背筋が凍る思いをします。
輸入品はダメ?会社の信用に差が付くポイント
近年は廉価な輸入品や激安販売のシートも、良く見当たるようになりました。
外国製や廉価品だからと言って絶対に駄目ではありませんが、品質面は気を付けたい部分です。
低品質なシートを使って事故を起こしてしまうと、経営的には大問題でしょう。
加えて、粗悪なシートは耐久性が低くてボロボロになりやすく、外観が劣るケースも多いです。
施工主や取引先は、意外とそこを見ていることがあります。
汚いシートを使っていると、乱雑に物資を扱っていると判断されかねません。
そうなると、作業自体の品質も疑われるので、できるだけ綺麗に、正確にシートを扱うようにしたいものです。
防音シートを使わない場合のリスク
一定の基準を守れば、防音シートを使わなくても法律違反になる可能性は高くありません。
騒音レベルが規制値以上でないなど、条件を満たせばシートなしでも大丈夫です。
しかし、安易に利用しない判断を下すのは考えものです。
特に住宅地との距離が充分でないなら、トラブル防止のために積極的に利用しましょう。
近年の住民トラブルのうち、大きなウェイトを占めているのが騒音問題です。
昔に比べて神経質な人も増えているようで、色々と法的手段を使うケースも稀ではなくなりました。
トラブルになると、クレーム対応に忙殺されるほか、裁判沙汰になりかねません。
騒音トラブルで用いられる法的手段は、主に二つです。差止請求と損害賠償請求があります。
このうち差止請求が認められると、作業中止となるので経営上の被害は深刻。
違法性が低いなら、差止が認められる可能性は高くないとされますが、油断は禁物です。
対して、損害賠償請求は比較的認められやすいと言われます。
受忍限度を超えるなど、一定の条件を満たせば賠償金の支払い義務が生じかねません。
防音シートが役立つ理由
まず、環境基準を守るために有効です。騒音に関する環境基準では、
どのエリアで、何デシベルまでと言う具合にルールが決まっています。
防音シートによって、発生音が基準値以内に収まれば一先ずは安心でしょう。
さらに、防音シートは見た目で「対策している」とわかるため、近隣の住民が納得しやすいのもメリット。
何も対策しないで騒音を出していると、腹立たしく感じるものです。
ところが、防音シートを使うと、一応の努力は認めてくれる可能性があるわけです。クレームが入った時も、
「特殊なシートで、できるだけ対策しています」と、説得材料になるでしょう。音漏れを全て防げなくても、
気を付けて工事していますと言う真摯な態度を見せることで、近隣住民との関係改善に役立ちます。