暮らしに欠かせない建物を作るためには、どんな資材が必要だと思いますか。
現場にはコンクリートや木材など色んなものが使われていますが、何といっても「足場」の存在が欠かせません。
足場は危険な作業をともなうので、厳しいさまざまな基準が決められています。
この記事では「足場の幅や基準」に注目します。
足場には色んなリスクがある?
建設現場には欠かせない存在の足場ですが、傍から見てもわかる通り高所作業をともなうものです。
高い建物を丁寧に完成させる、あるいは屋根や高所の塗装を完成させるには足場をまずは組み立ててから、作業床の上を労働者が移動しながら作業を行う必要があります。
しかし、高所で色んな資材を持ち運びし、作業を続けるということは「リスク」があります。
では、足場の作業に付随するリスクとは一体どんなものでしょうか。
足場にともなうリスクの代表格は「墜落」です。足場の上から墜落してしまうと、大けがはもちろんのこと最悪死に至ってしまいます。
つまり、足場に関するリスクとは「人命」に直結している問題なのです。
しかし、足場が無ければ建設作業が成り立ちません。必要不可欠な存在なのです。
そこで、墜落を防ぐために色んな措置が講じられています。
労働者の人命を守るために、国は法律の整備も行っています。
労働安全衛生法で定められている基準とは
足場は労働者の人命を預かっているため、国は「労働安全衛生法」を施行し足場の適切な運営を促しています。
この法律は昭和47年に施行されてから度々改正を繰り返しながら現在に至っています。
それでもなお、労働災害のデータの中を覗いてみると足場の墜落や転落事故が発生していることがわかります。
常に足場の運営には危機管理意識を保つ必要があります。
労働安全衛生法では、主に以下のような基準が定められています。
・資材の管理
現在も電気の影響を受けやすい足場では丸太が採用されています。
足場は損傷や著しい腐食が発生するとそこから労働者が足を滑らせたり、足場が倒壊したりと大きな事故が発生してしまう可能性があります。
労働安全衛生法では足場の資材を徹底して管理をするよう促しており、事業者が点検を怠らないように法整備されています。
・幅の基準
足場はいつでもどこでも好き勝手に立てていいものではありません。
作業をするために敷き詰める作業床は、そもそも高さが2メートル以上ある足場には作業床の存在が義務付けられています。
脚立など不安定な作業をするのではなく、平面できちんと作業ができる作業床を設置することが重要です。吊り足場以外には作業床に関する厳しい基準が設けられています。
例として、足場床の幅は40センチメートルという基準があります。
足場に関わる作業は成人男性が従事することが多く、この基準よりも極端に狭いと労災事故に発展する恐れがあるからです。
作業床に関しては建物との間に12センチ以下という基準も設けられています。
なぜ作業床の幅だけでなく、建物との間にも幅の基準があるかというと、建物と作業床との間にスペースが大きすぎる場合には落下してしまう恐れがあるからです。
幅に関しても厳密な基準が設けられており、墜落防止の策を講じるように徹底されています。
もちろん、作業床だけに対策を講じれば作業が安全に遂行できるわけではないので、この他にも足場に関しては色んな法整備がなされています。
足場の作業床の基準は調整も可能
労働安全衛生法では上記で解説のとおり作業床の幅に関しては厳しい基準が設けられていますが、実はこの基準は「強制」ではありません。
ご存じのとおり建設現場にはいろんなケースがあるため、どうしても作業床の幅を40センチ以上の設置が難しい場合にはこの基準より以下の作業も可能です。
しかし、作業床が限られる、ということはそれだけリスクが上がることも想像できる部分でしょう。
安全な作業のためにはできるだけ安全な作業床を確保することを怠らないことが重要です。
足場をしっかりカバーするための基準とは
足場には作業床の幅に関するルールが整備されていますが、床材が高所作業中に落下することを防ぎ、人命の保護にも重要な基準としてメッシュシートの設置も整備されています。
メッシュシートとは防網などとも呼ばれており、風に煽られて膨らまないように注意をする必要がありますが、塗料の飛散などを防ぐ効果もあります。
作業風景を外部の視線から守る効果もある他、作業時に発生する粉じんなどが隣接する他者の土地や建物に付着するリスクも大きく下げることができます。
足場のカバーは機能性が高いので必須のアイテムです。
メッシュシートについては悪天候時の運営にはしっかりと現場全体で管理意識を持ちましょう。
作業床についてもっと詳しく迫ろう!足場の危険を避けるために
作業床に関しては上記で解説のとおり労働安全衛生法に基づき安全な作業が実行できるように厳しい基準があります。
では実際に高所作業にはどんな危険があるのか、もう少し詳しく解説しましょう。
資材の落下
労働災害の報告にも多い内容ですが、足場作業の際には資材を落下してしまうトラブルがあります。
これはバランスを大きく崩すことによって起きてしまう事故です。
ただ何もない所に資材が落下するならまだ良いですが、もしも下で作業している方がいたらどうなるでしょうか。
また、建物を壊してしまったり、隣接する建物に大きな損害を与える可能性があります。
資材の落下はメッシュシートの効果でキャッチできることもありますが、十分に気を付けましょう。
経験の不足や慢心
足場の作業は経験が少ない場合には緊張から失敗してしまう可能性もあります。
足場に関しては特別教育という方法で現場経験を積む前に教育が義務付けられていますが、経験不足からくる恐怖心は施工の現場にはつきものです。
しっかりと周囲が作業をサポートしましょう。
また、ベテラン作業員も労災事故が多い傾向があります。
慣れからくる慢心は労働者の事故の大きな原因です。
経験者だからこそ、どの場所にも緊張感をもって作業をすることが重要でしょう。
まとめ
この記事では足場における幅や基準などについて詳しく解説しました。
足場の運営は常に労働者目線を怠らず、安全な運営を行う必要があります。
幅や基準は現場によっては基準に満たないものを実施することも可能ですが、できる限り安全な管理を心掛けて運営していきましょう。
また、足場の初心者の方や現場経験が多い方は労災リスクを常に意識する必要があります。
重篤な事故を自らの心構えで防ぐことが大切です。