足場工事に欠かせないアンチとは|使用方法や注意点を解説します
足場工事にはさまざまな資材が必要ですが、その中の1つに「アンチ」と呼ばれるものがあります。作業を安全に遂行するために欠かせないアイテムですが、一体どのように使用するのでしょうか。
この記事ではアンチとはどう使うものか、その使用方法や、使用時に知っておきたい注意点について解説します。ぜひご一読ください。
アンチとはどのような資材なの?
足場を組み立てる場合には、さまざまな細やかな部材を繋ぎ合わせて完成させる必要があります。ジャッキやブレス(筋交い)など、さまざまな種類がありますが、その中の1つとして活躍している資材が「アンチ」です。
アンチとは、足場床や踏板とも呼ばれているもので、足場の中では「床面」に該当するものです。つまり、足場の上を歩くために必要な資材ですね。アンチは板の形状をしており、両端に架けるためのフックが付いています。
一度アンチを水平に持ち上げてから、垂直に下ろすことではめ込むことができ、効率よく床を作っていくことが可能です。アンチは雨水が滞留したり、滑ったりしないように小さな穴があいており、表面上は凹凸の形状をしています。
長さや幅にはいくつかの種類がありますが、いずれも平面に作られているため、作業者の安全がしっかりと確保できるものです。
アンチとは|種類をわかりやすく解説
アンチはどれも同じのように感じるかもしれませんが、厳密にいえば種類はいくつかに分けることができます。
1.アンチ
アンチは別名で布板とも呼ばれています。先に触れましたが、両端にフックが設けられており、手軽にはめ込めるため効率よく足場の組立ができるしくみです。
アンチは枠組足場に使用されており、高層の作業に耐えられるような設計です。アンチは以下2つに挙げる資材と異なるのですが、踏板と呼ばれるものをアンチの名称で販売しているケースも見受けられます。利用方法に応じて床に必要な資材が異なると覚えておきましょう。
2.足場板
アンチと混同されがちな足場板ですが、実は種類は明確に異なります。足場板はアンチのようにフックが付いていません。
3.踏板
単管足場で使用されている踏板は、メッシュ素材でパイプに引っ掛けることができるものです。住宅の外壁塗装などの現場で活躍しており、狭い敷地の中でも足場を設置する必要があるときに活用されます。
アンチとはどう使うもの?|注意点もあわせて解説
アンチとは足場における床材とわかりました。では、安全な使用に向けて、使い方を詳しく解説します。
アンチとはどう使う?
アンチとは足場工事で床に該当する物であり、「垂直」に設置していく必要があります。
足場が必要となる工事には、外壁工事や外壁塗装工事、屋根工事などが挙げられますが、非常に細やかな作業を集中して行う必要があり、床面に傾斜や凹凸があっては作業に支障が発生してしまいます。
そこで、アンチは必ず作業者が安全に作業できるように、垂直に設置する必要があるのです。しかし、足場そのものは傾斜があるケースも存在しています。建物は常に平面に対して垂直に立っているものではありません。
坂の途中にある家は、正面から捉えると傾斜がありますよね。そのため、足場の組立時にはジャッキで調整し、床面まで傾斜にならないように設計されています。
両端のフックをはめ込むことで安定しますので、効率よく床面を連続で作り上げていきます。
アンチの幅には注意が必要
アンチとは「ヨンマル」の名称で呼ばれることもありますが、ヨンマルとは幅の大きさを指す用語です。つまり、ヨンマルなら幅が「40センチ」を意味します。
現在も主流のアンチとして多くの現場で使用されているヨンマルですが、近年は「ゴーマル」と呼ばれる資材も多く使用されるようになりました。ゴーマルは、幅が50センチの製品を意味します。実は、このゴーマルの普及にはある法律が影響しています。
労働安全衛生規則とは
足場のさまざまな運用を規定している労働安全衛生規則をご存じでしょうか。この規則のなかには、足場上の床面について、隙間の規定を実施しています。
床面の幅は「40センチ以上」と規定しているので、安全な作業を行うためには確実に40センチを超える必要があるのです。そこで、需要を満たすゴーマルと呼ばれる作業床が普及しつつあります。
アンチにはさらに細かい幅の製品もありますが、墜落防止の観点から現在ではあまり使用されていません。なお、アンチの幅の規定はもちろんですが、建地(※1)と床材の隙間も細かく規定されています。
(※1)建地とは
足場の構造上には横を支える柱と、縦を支える柱が必要です。縦を支える柱を建地と呼んでいます。垂直材としての役割を果たしており、足場を強固に支えるために必須の素材です。
アンチには規格の違いもある
建築資材でよくある問題の1つに、規格の混在が挙げられます。アンチにもインチとセンチの2つの規格があり、それぞれに互換性がありません。
インチの規格ならそのほかの足場資材もインチで統一しなければ幅や長さが合わないのです。センチの規格も同様です。アンチを使う場合には、どちらの規格で設計されているものか明確に分ける必要があります。
特に中古資材を扱う場合には、慎重に規格を確認したうえで購入しなければ、現場の資材にマッチしないリスクがあります。導入の際には注意が必要です。
アンチの使用ができない場合
単管足場のように狭い場所に組み立てる足場では、アンチの使用ができません。アンチは幅が安定しており、垂直に設置できるからこそ、作業者が安全に塗装などの作業に従事できるのです。
では、アンチが使用できない場合にはどのような点に注意すべきでしょうか。単管足場の使用は、枠組足場やくさび緊結式足場よりも事故が起きやすいため、安全帯を必ず装着しておくことが重要です。
また、無理のない積載で倒壊や転倒のリスクも避ける必要があります。壁繋ぎなども適切に行われている確認し、無理のかからない作業を遂行しましょう。
まとめ
この記事では、足場の資材の1つ「アンチ」に注目してお送りしました。アンチとは規格の問題や、幅の違いなどさまざまな注意事項を含んでいる製品ですが、安全性も高く作業者の命を預かってくれる床面です。
組立時にはミスが起きないように規格を正確に把握し、適切な手順で作業を行うようにしましょう。
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